人を拾う話

人を拾う話24

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「普通『7』なら縦線のところに『チョン』って入れるだろう」
「それ年配の人が書いてるのを見たことがありますね」
 晃司の言葉に、佐倉は渋い顔をした。
「俺はまだ四十しじゅうだぜ」
「十分おっさんですよ。図々しく人の家に上がり込んだり」
 晃司が冗談めかして非難した。

 思いがけず会話が弾んだ夕食の後、晃司は普段より早い時間に風呂に入った。佐倉が明日の仕事を探しているうちに済ませる。シャワーだけのことが多い晃司だが、佐倉が湯船に浸かるようなので、湯張りをしたついでに自分も浸かった。

 風呂から上がると、佐倉はスマートフォンを傍らに置いてテレビを見ていた。晃司は見たことがないが、話題のバラエティー番組だ。
「仕事は見つかりましたか」
「なんだ、心配してくれんのか」
「仕事が見つからないと、いつまでも居座られそうですからね」

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