人を拾う話

人を拾う話05

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 成り行きで男を部屋に上げた晃司は、客間にしている洋室に案内した。ソファー代わりにもなる折りたたみ式のマットレスとシーツ、家具はサイドテーブルだけが置かれた部屋だ。
「ふうん、まあまあ良いトコに住んでんだな」
 値踏みするように部屋を見回して男が言った。
「私は少し休んでから出掛けますので、それまでここを使ってください」
「おうよ。もう一眠りさして貰うわ」
 男はさっそくマットレスを広げた。クローゼットに掛け蒲団が入っていることを伝えて部屋を出る。
 個室のドアノブは、すべて鍵が掛かるタイプだ。貴重品も仕事上の書類なども書斎に仕舞ってある。眠ってしまっても大丈夫だろうと判断して、晃司は寝室に入った。

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