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「着替えぐらいしますよ」
「じゃあ支度が済むまではゆっくりさして貰うよ」
梃子でも動きそうに無い男を説得するのを諦め、晃司は着替えを取りに寝室に戻った。無防備も何も、赤の他人を家に上げて眠っていたのだ。今さらシャワーくらいで気にすることはないと思い直す。念のために鍵は浴室内に持ち込むことにした。
出勤の準備を終えた晃司が促すと、男はようやく腰を上げた。
「お前さんが帰ってくる頃また来るわ」
「泊まるつもりですか」
警戒心も露わに晃司が訊く。
「最初に何日か泊めろと言ったろう。それをお前さんは断ってねえだろう。出掛けるまではあすこの部屋を使えって言っただけだ」
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