人を拾う話

人を拾う話15

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 夕飯は大抵、外食か出前で済ませる。晃司は今夜の食事を、帰宅する頃合いを見計らって注文していた。当然一人前だ。宅配業者からパスタのセットを受け取りダイニングに向かう晃司に、男が声をかけた。
「なんだ、俺の分はねえのか」
「まさか本当に来るとは思いませんでしたからね」
「昼飯食わずにおん出されて腹ぺこなんだよ」
「知りませんよそんなこと」
 そう言いつつも、晃司は一人だけ食事をするのは気が引けた。かといってシェアするほどの量はない。
「ま、そんなことだろうとは思ってたよ。明日の晩飯からは世話になるからな。お前さん、朝は家じゃぁ食わねえタイプだろ」
「大体どこかのカフェか、ファストフードですね」
 男が鞄からスーパーのビニール袋を出すのを見ながら答える。割引品のボンゴレが入っていた。

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