人を拾う話

人を拾う話17

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 書斎に入った晃司は、趣味の活動をしようとパソコンの電源を入れる。仕事は趣味の延長線上で始めたことではあるが、自分の作品を作ることはまた別だ。
「あれ」
 マウスに手を置いたときに微かな違和感があった。 
 晃司はいつも、パソコンの電源を切った後でマウスを持ち上げて、裏についているスイッチを切る。無意識の動作ではあるが、置く場所は毎回ほぼ同じでキーボードから指の幅だけ離れた場所だ。それが今は手のひらが入るほど遠くに置かれている。スイッチも入れっぱなしだ。
「半分寝てたせいか」
 ここのところ仕事が忙しく、寝る間を惜しんで創作活動をしている。一昨日は寝落ちしそうになりながら電源を切った。
 おかしいとは思いながらも、たまにはそんなこともあるだろうと自分を納得させた。

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