人を拾う話

人を拾う話19

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 晃司が出かける支度を済ますと、佐倉も大人しく家を出た。まさか朝食までたかられるのではと警戒したが、駅へ向かう途中で佐倉はバス停の方へ曲がっていった。
 晃司は出社してしばらくし、桧山の姿がないことに気がついた。いつも定時に余裕を持って出勤してくる桧山は、晃司が鍵を開けるとすぐにやってくる。事務所の壁に貼られた従業員のスケジュール表を見て、振替休日になっていることを思い出す。先日、別の稼働中のシステムで障害が起こり、休日出勤をして貰っていたのだ。
 
 午後、仕事に一区切りがついたところで、晃司は給湯室に入った。マシンでコーヒーを淹れていると長谷川も休憩に来た。ついでにもう一杯淹れて紙コップを渡す。
「桧山さんもすっかりウチの主要メンバーだな」
 長谷川が言った。

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