人を拾う話

人を拾う話20

Views: 1


「まだ三ヶ月しかいないのに、ずっと一緒に仕事をしている気分だ」
 晃司も桧山についてそう話すと、長谷川も同意する。
「そうだな。それに、ついいろいろ頼んじゃうけど、何でも引き受けてくれるし」
「いなきゃ困るくらいだ」

 男が公園のベンチで煙草に火を付けると、子供を遊ばせていた若い男性が近付いてきた。
「ここは禁煙ですよ」
「ああ、すまんな。つい習慣で」
 ポケットから携帯灰皿を出してきたので、それを借りて煙草を始末する。若い男性はそのまま一人分空けてベンチに腰を下ろした。ペットボトルのお茶を飲む。子供は妻に任せて休憩するらしい。
「ったく、一本くらい吸わせろよ」
 男がぼやくと、若い男は肩をすくめた。
「すみません。それで、どうですか、佐倉さん」
 若い男性の問いかけに男は――佐倉聡汰は首を振った。

コメント

タイトルとURLをコピーしました