人を拾う話

人を拾う話22

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 佐倉はこっそりと晃司の家に戻った。書斎に入り、再びパソコンを調べるために起動した。桧山が掴んだ晃司が会社のパソコンで使っているパスワードを入力してみる。
 昨日は阻まれたパソコンのロックがいとも簡単に解除された。
「これでロックしたつもりとはね。不用心だな、IT社長さんよ」
 小さく呟いて、ファイルを調べ始めた。

 晃司が帰宅するとまもなく佐倉が帰ってきた。日払いで金が入ったからと、ソーダを買ってきている。晃司は二人分注文しておいた夕飯が無駄にならずに済んでほっとした。
「旨そうなカツカレーじゃねえか」
「まあ、手頃な店のデリバリーにしては、悪くないと思いますよ」
 旨い旨いといって食べる佐倉を見て、晃司は少し嬉しくなった。手作りでは無いとは言え、自分が用意した食事を喜んで口にして貰えるのは新鮮だった。

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