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「死んでんの」
口の中で呟きながら、ゴミ集積所に横たわる男をつま先でつつく。晃司は通報するべきか一瞬だけ迷った。男が小さく呻く。
警察と関わるのは面倒くさい。いろいろ聞かれて貴重な睡眠時間を削られるのも億劫。目が覚めればこの男もどこかに行くだろう。
そう結論して晃司は踵を返す。
「人を蹴飛ばしといて、その態度はねえだろうがよ」
のんびりとした口調だが、晃司は無視出来ない響きを感じた。
厄介な相手と関わってしまった。そう思いながら晃司が振り返る。男がのっそりと起き上がるところだった。
「詫びの入れ方も知らんのかい」
さっさと謝って立ち去るのが最善か。
「すいませんでした」
晃司は軽く頭を下げた。
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