人を拾う話

人を拾う話02

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「死んでんの」
 口の中で呟きながら、ゴミ集積所に横たわる男をつま先でつつく。晃司は通報するべきか一瞬だけ迷った。男が小さく呻く。
 警察と関わるのは面倒くさい。いろいろ聞かれて貴重な睡眠時間を削られるのも億劫。目が覚めればこの男もどこかに行くだろう。
 そう結論して晃司は踵を返す。
「人を蹴飛ばしといて、その態度はねえだろうがよ」
 のんびりとした口調だが、晃司は無視出来ない響きを感じた。
 厄介な相手と関わってしまった。そう思いながら晃司が振り返る。男がのっそりと起き上がるところだった。
「詫びの入れ方も知らんのかい」
 さっさと謝って立ち去るのが最善か。
「すいませんでした」
 晃司は軽く頭を下げた。

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